今回は、 分身ロボット が登場! といっても、産業用や遊び道具としてのロボットではないのです。離れた場所からでも、自分の声や動きを伝えることができる
『分身ロボット』!?
子育て中や入院中などで外出がままならない、遠隔地の会議で移動が間に合わない、大勢とのコミュニケーションが苦手など・・・。
さまざまな事情により、その場にいられない状況を解消してくれるのが、このロボット。
探検バクモン「世界が注目!分身ロボット」という番組が平成31年2月20日にNHKにて放送されました。
内容として、家に分身ロボットを置いて、単身赴任中のお父さんが操作する。ロボットを通じてお父さんが「帰宅」し、家族と同じテレビを見て、同じところで笑える時間を共有する。
しかし 一番の開発のきっかけになったともいえる孤独の問題を解決するツールとして2009年より「もう一つの身体」である分身ロボットを提唱し、「分身産業」の開拓を見据えた研究開発を進めてきた研究所に、爆笑問題の太田、田中両氏ならびにサヘル・ローズさんのレギュラーメンバーと一体どんなロボットなのか伺ってみましょう。
『 分身ロボット 』とは?
現在日本には、病気やけがで学校に通えない子どもが4万人以上いると言われています。
また、15歳〜39歳 年齢のひきこもりの推計数は54万人とも、そして ひとり暮らしの高齢者は900万人とも、それどころかこれからの高齢化、ますます増加の一途だと思われます。
この他、身体障害・高齢・育児などの理由で、外出する際に何らかの困難を伴う「移動制約者」は3,400万人を超えるというデータです。
そして ”筋萎縮性側索硬化症(ALS)”、 手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく難病です。
今や 国際的にみても、2018年にはイギリスで「孤独担当大臣」のポストが内閣に新設されました。
孤独は、鬱や認知症の原因になるともいわれており、確実に大きな社会問題化していますね。
従来は、孤独の問題は「本人の努力」や「周囲の支援」以外に解決の方法がありませんでした。
しかし、その根本原因である「移動」「対話」「役割」などの課題を克服するためには、個人の力だけでなく、テクノロジーの力が不可欠です。人々のより良い社会参加を支援するテクノロジー、つまりコミュニケーションテクノロジーを開発し、社会実装する取り組んだのが、オリィ研究所です。
オリィ研究所とは?
OriHimeは人工知能ではありません。OriHimeはあなたの分身になり、離れていても会いたい人に会って話したり、一緒に過ごしたりして相手と感情を共有することができる分身ロボットです。
インターネットを通じて遠隔操作できる分身があれば「移動」の課題は消失し、距離や身体障害に影響されない心の外出が可能になります。
また、分身がコミュニケーションを支援できれば「対話」の負担は軽減します。さらに、従来のテレワークでは困難だった肉体労働や接客など、より多くの選択肢から「役割」を獲得することも可能なんです。
オリィ研究所のプロダクトは、人々の社会参加を妨げている課題を克服するためのツールです。テクノロジーによって「できない」を「できる」に変換し、社会そのものの可能性を拡張してきています。
そこで 提唱者と そのグループ一丸となり、これまでオリィ研究所では、
★ 遠隔操作でありながら、「その場にいる」感覚を共有できる分身ロボット『OriHime』
OriHimeは分身です。
子育てや単身赴任、入院など距離や身体的問題によって行きたい所に行けない人のもう一つの身体、それが”OriHime”です。
OriHimeには、カメラ・マイク・スピーカーが搭載されており、家や会社など行きたい所におき、インターネットを通して操作できます。
OriHimeを操作することで、周囲を見回したり、あたりの人と「あたかもその人がそこにいるように」会話できます。
オリイ研究所が開発したOriHimeは、たまたま見た人形劇で、まるで生きているように見えるというところからヒントを得て、誕生したとのことです。
また名前も、開発者の吉藤さんが、不登校時代に覚えた折り紙から”Ori”をとって”OriHime”と名づけたとのことです。
スゴイのは、自分の身として使えて、その場にいる感覚を持つことができるということです。
★ 難病や身体障害があっても、目の動きだけで意思伝達を行える『OriHime eye』
眼球しか動かせないALSの患者さんなども「デジタル文字透明板」で、眼球の動きのみで意思伝達ができるんです。
それを通してまた、今まで首が傾けられず見れなかった周りにいる人の顔や、遠隔で飲み会に参加したり、OriHimeの声を使ってしゃべる事もできるんです。
なによりも、これを使った時の患者さんたちの顔。でも表情は動かないので、分からないのですが、患者さん達の雰囲気から、とても嬉しそうなオーラに溢れているのがわかります.
ALS患者が訪問者(このロボットの開発者、吉藤健太郎さん)にコーヒーを振る舞う動画です。
★ テレワークにおける身体的社会参加を可能にする分身ロボット『OriHime-D』
などのプロダクトを世の中に送り出してきているのです。
コミュニケーションテクノロジーによって新たな形の社会参加を実現し、人々の孤独を解消すると共に、社会そのものの可能性を拡張していくこと。それがオリィ研究所のミッションとの事です。
そんな分身ロボットを開発した吉藤健太郎さんは、世界的な経済誌で、2016年“アジアを代表する30歳未満の30人”に、田中将大選手、錦織圭選手とともに選ばれた企業家。今、世界から注目を集める人物なんです!
吉藤さんは、分身ロボットで「存在感」を伝え、人が感じる孤独感の解消を目指してきたとの事です。
それでは、その吉藤健太郎さんとは?
この現代社会の中でひしひしと迫ってきている「孤独」だの、学校に、社会に参加したくともできないで悶々とした日々をおくってる「引きこもり」の方々、そして もう思うように手足も動かせなくってしまった「ALS」という難病で苦しんでる方々の開放に・救いの光を投げかけようと”分身ロボット”を開発研究されてきた吉藤健太郎(よしふじけんたろう)さん、もう”スゴイ”としかいいよう無いのですね。
でもこんな”人助けのロボット”の開発の裏に驚くなかれ、彼自身も実は不登校生で小学5年生から中学3年生まで、いじめや体調不良によって家に引きこもっていたと言います。
当時の事を吉藤さんは、とても長く、苦しかった、とても孤独だったと述懐されていますが、逆にその当時の経験が今の研究に繋がっているそうなんですね。
引きこもっていた当時は、ただただ部屋にいる日々で、折り紙や絵を描くなど、一人で打ち込めることに熱中されていたとのことで、そんな時、母親の勧めで、ロボコンの大会に出場し、そこでなんと優勝。
さらに、2001年には全国大会でも準優勝をし、引きこもりから脱却できたとの事です。
奈良県立王寺高校に進学し、「奈良のエジソン」と呼ばれていた久保田憲司さんと出会い、電動車いすの開発に携わるようになったとのことです。
そして、国内最大、世界最大の科学コンテストで、文部科学大臣賞などを受賞。
この開発で高齢者や入院患者との関わり、孤独や苦しみを知った吉藤さんは、人工知能について学ぶべく香川県にある高専に進学。
しかし、本当の意味での孤独を解消するのは、人と繋がる事が重要だと考え、中退。
早稲田の創造理工学部に入学し、2012年に「株式会社オリイ研究所」を設立しました。
オリイ研究所の目指すものは、距離や身体的問題を克服し、会いたい人に会え、行きたい所に行ける未来を実現すること。
そして、まとめとして、コンセプトは「ロボットと人ではなく、人と人をつなぐロボット」
これらって、素晴らしいことですよね!
本当にそんな世界を実現してくれそうな人の心によりそう人、と感じた次第です。
ますますの我々・人間の心に寄り添った「次世代のロボット」開発に期待しようではありませんか。
現在はまだ『車椅子・健康保険による診療を受けられない時のため、未病対策を?』に頼らざるを得ない場面も、将来はロボットが解決してくれるかも知れませんよ。